中国、初の人民元ステーブルコイン発行へ|香港で試験運用

中国は6日、同国初となる暗号資産(仮想通貨)のステーブルコインを承認する準備を進めていることが明らかになった。
報道によると、この動きは世界のデジタル通貨業界が進化する中で行われるもので、中国国内のデジタル通貨規制に大きな変化をもたらす可能性がある。
香港を拠点に人民元ステーブルコインを試験運用
中国は、人民元(CNY)に連動する初のステーブルコイン開発を承認する構えだ。
この計画は、国境を越えた決済の効率化と、時価総額2,710億ドル(約40兆1,080億円)を誇るテザー社のUSDTのような米ドル連動型ステーブルコインへの対抗を目的としている。
中国人民銀行(PBOC)の潘功勝総裁は、既存のデジタル人民元(e-CNY)の国際オペレーションセンターを上海に設立する計画をすでに発表しており、戦略的な方針転換を示唆している。
このパイロットプログラムでは、香港のオフショア人民元(CNH)市場が試験場として活用される。香港は確立されたフィンテックインフラを有しており、2025年8月1日に施行される「ステーブルコイン条例」が、CNHに連動するステーブルコインの明確な規制枠組みを提供する。
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米国への対抗と慎重な規制緩和
この動きは、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)のような分散型仮想通貨に対する長年の厳しい規制に続くものである。これらの投機的な仮想通貨は、中国国内では依然として厳しく管理されている。
テザー社は2018年にCNHステーブルコインの立ち上げを試みたが失敗に終わった。しかし、今回の中国の取り組みは、デジタル通貨分野における米国の支配力に対抗する必要性が高まっていることを反映している。この計画は、資本流出を防ぎ、人民元の国際的な利用を拡大する中国政府の取り組みとも一致する。
米国のステーブルコイン関連法案の進展や、時価総額が2,750億ドル(約40兆7,000億円)に達する米ドル建てステーブルコインの急成長が、世界金融における人民元の役割を主張しようとする中国の動きを後押ししている。
中国は投機的な仮想通貨への規制を維持する一方で、ステーブルコインを金融インフラを強化するツールと見なす現実的なアプローチを取っている。アナリストは、この動きを仮想通貨の全面的な採用への突破口というより、米国の金融的影響力への対抗策と位置づけている。