ビットマイン会長が語る、DATバブル崩壊とイーサリアムの将来性

大手イーサリアム(ETH)トレジャリー企業ビットマインのトム・リー会長は16日、デジタル資産財務(DAT)バブルはすでに崩壊した可能性があるとの見解を示した。
DATとは、上場企業が仮想通貨を自社の財務資産として大量に保有する手法で、株式市場を通じて一般投資家が間接的にデジタル資産へアクセスできる点が特徴だ。
このモデルは、2020年にマイクロストラテジー社がビットコイン(BTC)の大量購入を開始したことで広まった。ETF承認前の段階で、株式投資を通じて仮想通貨市場への参入を可能にした先駆的な事例とされる。
リー氏が率いるビットマインは、このDAT手法をイーサリアム分野に応用。小規模なビットコインマイニング企業から、イーサリアムを中核資産として保有する財務企業へと事業転換を遂げた。
現在、ビットマインはイーサリアム総供給量の約2.5%にあたる約303万2188ETHを保有しており、時価総額は150億ドルを超える。
保有資産額はおよそ121億ドルに達し、世界最大のイーサリアム保有企業として業界内で確固たる地位を築いている。
バブル崩壊の兆候
リー氏は、「戦略的資産として仮想通貨を取得する上場企業のバブルは既に崩壊したかもしれない」と語った。
同氏がバブル崩壊の根拠として挙げるのは、多くのDAT企業が純資産価値(NAV)の下で取引されている点だ。これは企業の市場価値が保有する仮想通貨の価値を下回っていることを意味する。
最近の仮想通貨デリバティブ市場では190億ドル規模の清算が発生し、過去最大の暴落を記録。これによりどの企業が不況を乗り切れないかとの市場監視が強まった。
DATセクターは急速に拡大しており、サム・アルトマン氏のワールドコイン(WLD)のようなアルトコインを保有する新規参入企業が相次いで登場し、市場は飽和状態となっている。
将来性が見込まれるイーサリアムもまた、処理速度の低下や高額な取引手数料、他ブロックチェーンとの競争などの課題に直面している。
イーサリアムの将来性とDATの選別
DATセクターへの懸念にもかかわらず、リー氏はイーサリアムが依然として「ウォール街のブロックチェーン」であると主張する。金融機関がステーブルコインやトークン化資産の活用を模索する中、その多くがイーサリアム上で機能するためだ。
ビットマインは、ステーキング報酬の獲得や主要株価指数への採用可能性といった利点を提供する。リー氏は「我々はウォール街がイーサリアムの将来のアップグレードをどう見るかの連絡役だ」と語った。
業界推計によれば、ビットコインとイーサリアムを保有する企業の財務資産の合計は現在1627億ドルを超えている。この規模のバランスシート実験は驚異的な大きさを物語っている。
リー氏はDATセクター全体の存続に懐疑的であるが、成功例としてストラテジー社とビットマインを挙げたうえで、今後2年で生き残るのは一部の優良銘柄のみになるだろうとの見解を示した。
ストラテジー社のビットコイン中心戦略とリー氏のイーサリアム中心戦略は、DATセクター内における戦略的な分岐点を示している。
リー氏は「ビットコインが最大の仮想通貨として勝利し、最も持続力を持つ」と認めながらも、機関投資家にとってのイーサリアムの価値を強調した。