ビットコインと金、米ドルリスク回避の安全資産として注目

仮想通貨取引会社QCPキャピタルは21日、ビットコイン（BTC）と金が、米ドルリスクからの資本逃避先として最も安全な資産となる可能性があるとの分析を発表した。

資本が安全資産やインフレヘッジ資産へシフトする中で、両資産の重要性が高まっている。

安全資産としてのビットコインと金

2025年現在、米ドルへの懸念や世界経済の不確実性が高まる状況下で、ビットコインと金は並行する安全資産として認識されている。

金は伝統的な安全資産であり、その需要の多くは宝飾品（44%）と中央銀行（23%）によるもので、投資目的は約26%にとどまる。

一方、ビットコインはデジタル時代の安全資産として台頭している。

オンチェーンでの自己管理可能性、高い流動性、そして分散型という性質が評価され、機関投資家による受け入れが進んでいる。

この金とビットコインという二つの安全資産は、特に市場の変動や地政学的緊張が高まる中で、インフレや通貨リスクに対する多様なヘッジ手段を世界の資本に提供している。

最近の価格調整にもかかわらず、リスク調整後のビットコインのパフォーマンスは、金や債券のような伝統的な安全資産と比較しても遜色ない水準にある。

異なる要因に左右される両資産

世界的な資本が米ドルリスクを避ける動きは、金とビットコイン双方にとって追い風となっている。

しかし、それぞれの価格動向は異なる要因に影響を受けている。

金の安全資産としての魅力は、その固有の価値や宝飾品、中央銀行準備における役割によって依然として強い。

2025年には、経済の不確実性、貿易摩擦、景気後退への懸念、そして金ETFや先物への資金配分増加を背景に、16%以上という顕著な上昇を見せた。

対照的に、ビットコインは2025年1月の高値から下落しており、市場の変動性や規制に関する懸念から、一部の投資家は懐疑的な見方をしている。

ビットコインのオプション市場では、継続的なコールスキュー（コールオプションへの需要が高い状態）が見られ、これは強気な投機が続いていることを示す。

しかし、一部の投資家はビットコインETFから資金を引き揚げ、より安定していると見なされる金ETFを選好する動きも見られる。

この相違は、安全資産としての金の優位性が依然として強い一方で、ビットコインが機関投資家の採用や独自のデジタル準備資産としての地位確立を目指している状況を浮き彫りにしている。

ビットコイン市場の展望とデュアルトラックモデル

ビットコインオプション市場に見られるコールスキューは、短期的な価格変動にもかかわらず、投資家がビットコインの将来的な上昇ポテンシャルに賭けていることを物語る。

この持続的な歪みは、ビットコインがインフレヘッジやリスク分散の手段として成長しているという見方を支持するものである。

しかし、最近の投資家の選好の変化や、ビットコインETFから金ETFへの資金流出は、経済の不確実性に対する慎重なセンチメントも反映している。

地政学的およびマクロ経済的な緊張が続く中、金とビットコインという「デュアルトラック」の安全資産モデルは、伝統的な投資戦略と革新的な投資戦略の両方に対応する選択肢を提供している。

この枠組みは、ビットコインが機関投資家レベルでさらに成熟し、また世界的にインフレや通貨リスクが持続するにつれて、今後さらに進化していく可能性がある。

ビットコイン以外の暗号資産（仮想通貨）市場全体も、マクロ経済の影響を受けつつ独自の進化を続けている。

このような状況下で、どのような仮想通貨投資戦略を取るべきか、投資家は慎重な判断を迫られている。