アメックス、Base基盤の旅行スタンププログラムを導入

アメリカン・エキスプレスは16日、米国のカード会員向けにブロックチェーン基盤のデジタル旅行スタンププログラムAmex Passportを開始した。
この取り組みは、同社が新たにリリースした旅行アプリに組み込まれており、従来の紙のパスポートスタンプに代わり、譲渡不可能なERC-721トークンを使用する。
トークンは、イーサリアム(ETH)のレイヤー2ネットワークであるBase上に保存される。
Amex Passport導入の背景
このプログラムの背景には、消費者の行動変化、規制に対する現実的なアプローチ、そして戦略的な市場での位置付けという3つの主要因がある。
まず、同社の社内調査では、旅行者の73%が旅行の思い出を保存するためのより良いデジタル手法を望んでいることが示された。
特に2025年10月に欧州諸国が手動でのスタンプ押印を段階的に廃止することから、半数以上が物理的なパスポートスタンプへの郷愁を表明している。
次に、このプログラムはスタンプを取引不可能で価値のないトークンと位置付けることで、規制上の問題を意図的に回避している。
これは、スターバックスが失敗した投機的なNFTプログラムOdysseyとは対照的だ。同社のプログラムは、ビットコイン(BTC)のような価格変動の激しい資産とは一線を画し、実用性を重視している点が特徴だ。
最後に、Baseの開発元であるコインベースや、カストディ基盤を提供するFireblocksとの提携が、技術的・セキュリティ的な信頼性を確保した。
これにより、ルフトハンザ航空などの競合他社が直面したWeb3導入の課題に対処している。
ユーザー体験を重視したWeb2.5戦略
このプログラムは、予約、旅程管理、ロイヤリティリワードを一つのアプリに統合した、アメリカン・エキスプレスの中央集権的な旅行エコシステム内で運営される。
各スタンプは、会員が訪れた国を記録する独自のデジタル収集品として機能し、旅行履歴を検証可能かつ共有可能な形式で保存する。
各スタンプは、会員の旅行履歴をデジタル収集品として保存するためにパブリックブロックチェーン上に保管されるという。
このプログラムでは投機的な資産ではなく、安全で永久的な旅行の記念品としての役割が強調されている。
スケーラビリティと低い取引コストを実現するためにコインベースのBaseネットワークを活用し、既存のモバイルアプリにシームレスに統合されているため、利用者が外部の仮想通貨インターフェースを操作する必要はない。
これは、過去の企業によるWeb3の試みを頓挫させたユーザビリティの障壁に対処するものだ。
同社はまた、分散型記録によるセキュリティ強化もアピールし、分散型記録を通じてロイヤリティプログラムのセキュリティと透明性を高めるブロックチェーンの役割に言及した。
市場アナリストは、これを実用的なWeb2.5戦略と見ている。このような実用的なWeb2.5戦略は、アメックスのみならず、グーグルやストライプなど大手企業も取り組んでいる。