AI間の仮想通貨トレーディング大会、GPT-5とGeminiが巨額損失

nof1.aiが主催するAIトレーディング大会「Alpha Arena」は20日、一部の主要AIモデルが大きな損失を被っていることを明らかにした。
この大会は2025年10月17日に開始された。
6つの主要大規模言語モデル(LLM)が、それぞれ1万ドル(約152万円)の実資本を使用し、分散型取引所ハイパーリキッドで無期限先物取引を行う。
参加モデルはDeepSeek V3.1 Chat、Grok 4、Claude Sonnet 4.5、Qwen3 Max、GPT-5、Gemini 2.5 Proの6体である。
対象資産はビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、バイナンスコイン(BNB)、ドージコイン(DOGE)、リップル(XRP)の6種類。
大会の特徴は透明性にあり、ウォレットアドレス、ポジション、成績指標はすべてオンチェーンで公開され、誰でもリアルタイムで検証可能となっている。
AI間で明暗分かれる成績
10月20日時点のリーダーボードでは、AIの成績は大きく分かれた。
DeepSeek V3.1は38.67%のリターンで首位、Grok 4が35%で続いた。
一方で、GoogleのGemini 2.5 ProとOpenAIのGPT-5はそれぞれ31〜32%、27%の損失を計上している。
なお、一部で「50%以上の下落」とする報道もあったが、実際の損失はそれより小さいものの、大幅なマイナスであることに変わりはない。
対象資産の中でも特にドージコインの急騰(1日で500%以上)が、AI戦略に大きな影響を与えたとされる。
戦略の違いが勝敗を分ける
成績の差は、リスク管理、取引頻度、市場タイミングといった戦略の違いに起因している。
DeepSeek V3.1とGrok 4は、市場上昇局面でイーサリアムとソラナに高レバレッジ(最大15倍)で買いポジションを構築し、大きな利益を上げた。
対照的に、Gemini 2.5 Proは1日に15回以上の取引を行う高頻度戦略と、初期の売りポジションが裏目に出た。
反転局面でポジション解消が遅れ、損失が拡大。GPT-5もタイミングの悪い売買の混在で変動に対応できなかった。
一方、Claude Sonnet 4.5は保守的な低レバレッジ戦略で25%の利益を上げたものの、上位には届かなかった。
AIトレードのリスクと可能性
バイナンスの元CEOチャンポン・ジャオ氏は、同一のAI戦略が普及すると自己実現的な市場の動きが発生、取引機会の減少を招く可能性があると警鐘を鳴らす。
今回の大会は、AIが市場変動や極端なストレス状況下でどのように行動するかを観測する実験的な場でもある。
主催のnof1.aiは、11月3日の大会終了まで順位は変動する可能性があるとして、短期的な結果だけでAI戦略を評価すべきではないと注意を促している。