イーサリアム財団、量子コンピュータ時代に向け耐量子暗号へ本格移行

イーサリアム(ETH)財団は23日、耐量子セキュリティを専門とする新チームを立ち上げ、研究開発支援を本格的に拡大する方針を明らかにした。
耐量子セキュリティを最優先課題に位置付け
イーサリアム財団は、耐量子セキュリティを戦略上の最優先事項として正式に位置付けた。
量子コンピューターの性能向上により、現在広く利用されている暗号方式が将来的に破られるリスクが高まっており、ブロックチェーン基盤そのものの安全性が問われている。
同財団のジャスティン・ドレイク研究員は、耐量子研究を2019年から進めてきたと説明し、2024年以降の技術進展は急速である一方、実装までの猶予は限られていると指摘した。
新設された専門チームは、暗号エンジニアのトーマス・コラジャー氏が主導し、リーンVMチームのエミール氏が技術面を支援する。
すでに実装段階に入り、コンセンサスクライアントのLighthouseとGrandineでは耐量子開発者ネットワークが導入済みだ。
Prysmも近く対応を進める予定とされている。
これにより、イーサリアムは理論研究中心の段階から、実運用を見据えたエンジニアリングフェーズへと移行した。
100万ドル規模の研究支援と開発体制の強化
耐量子対応を加速させるため、財団は研究助成にも踏み込む。
ハッシュ関数の安全性向上を目的としたポセイドン賞には100万ドルが充てられ、加えて耐量子暗号関連の取り組みを対象としたプロキシミティ賞にも同額が割り当てられた。外部研究者や開発者の参加を促す狙いだ。
今後は、アントニオ・サンソ氏が主導する耐量子トランザクション開発者会議が隔週で開催され、署名方式の設計や暗号プリコンパイルの導入が議論される。
また、ウィル・コーコラン氏の調整のもと、相互運用性を確保するための週次コールも実施されている。
専門家の間では、量子コンピューターによる実用的な攻撃が現実化するまでに5年から15年程度かかるとの見方が多い。
イーサリアムは5000億ドル超の価値を保護する基盤であり、同様の課題はビットコイン(BTC)を含む他の主要ブロックチェーンにも共通する。
イーサリアム財団は、今後100年にわたり自律性と安全性を維持できるネットワーク構築を目標に掲げており、今回の取り組みは業界全体で進む長期的リスク対応の象徴的な動きといえる。