イーサリアムETFから1000億円規模の流出、投資家の動き鮮明に

米国の暗号資産(仮想通貨)市場では19日、イーサリアム(ETH)とビットコイン(BTC)の現物ETFから大規模な資金流出が発生した。
市場レポートによると、イーサリアム現物ETFの純流出額は6億4400万ドル、ビットコイン現物ETFも4億9700万ドルにのぼった。合計で11億ドル以上が市場から引き揚げられたことになる。
とりわけイーサリアムETFの動向は顕著で、15日から19日までの5日間、承認されている9つのETFすべてで純流入が確認されなかった。
イーサリアムETFで過去最大の流出
機関投資家が主要な仮想通貨ETFに対して慎重姿勢を強めていることが、今回のデータから読み取れる。
ビットコインETF市場では、プロバイダー間で資金の動きが分かれた。フィデリティのFBTCには3億9170万ドルの資金が流入した一方で、ブラックロックのIBITからは1億7358万ドルが流出している。
日別の内訳では、18日と19日の流出が特に大きかった。
最終取引日である19日には、ビットコインETFから1億5825万ドル、イーサリアムETFでは7589万ドルが流出した。週後半にかけて売り圧力が強まった様子が見て取れる。
この間、ビットコイン価格は約8万8944ドル、イーサリアム価格は約3024ドルで推移していた。
価格が安定していたにもかかわらず流出が続いた背景には、短期的な価格変動以外の要因に基づく機関投資家の戦略があると考えられる。
機関投資家の資金移動と市場の動向
今回の大規模な資金流出は、資産ローテーションの影響とみられる。
同時期にはリップル(XRP)やソラナ(SOL)の現物ETFに資金流入が見られ、投資家の関心がビットコインやイーサリアム以外のデジタル資産にも広がっていることがうかがえる。
また、年末特有のポートフォリオ調整も流出要因とされている。年度末に向けて多くの機関投資家がポジションを整理する時期と重なったことで、例年より大きな資金移動が発生した。
市場アナリストの一部は、こうした流出傾向を市場全体のセンチメントに対する警告シグナルと捉えている。
今回の動きは、仮想通貨市場における機関投資家の投資先が変化しつつある現状を浮き彫りにした。