メタプラネットがSECへADR登録申請|BTC戦略で米国進出へ

メタプラネットは12日、米国証券取引委員会(SEC)に対しForm F-6を提出し、米国預託証券(ADR)プログラムの登録申請を行った。
最大2億株の米国預託株式(ADS)を登録する計画で、1ADSは普通株式1株に相当する。
登録費用ベースでの想定規模は約1000万ドル。
承認されれば米国投資家が日本の証券会社を経由せずに同社株を直接取引できるようになる。
Form F-6とADRプログラムの意義
Form F-6は、ADR/ADSプログラムを創設するためのSEC登録届出書にあたる。
米国投資家が外国企業の普通株式を表す「米国で取引可能な証券」を購入できるようにするための法的枠組みを構築するものだ。
預託銀行としてドイツ銀行が選定された点も重要となる。
機関投資家グレードの預託銀行は、ADSの発行・取消、カストディ、手数料、配当、議決権行使といった一連の仕組みを処理する役割を担う。
メタプラネット株が米国資本にとって「消費可能な」形態となる。
1ADS=普通株式1株という比率設定も戦略的な判断といえる。
複雑な換算計算が不要となり、チャート分析や他銘柄との比較が容易になる。
米国資本市場へのアクセスがもたらす変化
米国資本市場は構造的に他市場と異なる特性を持つ。
アクティブ運用マネージャーが多く、テーマ投資の資金フローが活発で、個人投資家のレバレッジ文化も根付いている。
ボラティリティへの耐性も高く、ナラティブやオプション性、リフレキシビティに対してプレミアムを支払う傾向がある。
メタプラネットが米国で取引可能な日本のビットコイントレジャリー銘柄となれば、新たな需要層を開拓できる可能性がある。
流動性が向上すれば取引摩擦が低下し、買い手の裾野が広がる。
取引量が増えればスプレッドが縮小し、機関投資家がポジションを拡大しやすくなる。
結果として資本コストが低下し、より多様な戦略的ファイナンスの選択肢が生まれるという好循環が期待できる。
ビットコイン戦略との相乗効果
メタプラネットは2024年4月からビットコイントレジャリー戦略を本格化し、2025年9月末時点で約3万BTCを保有する。
米国ではストラテジーに代表されるビットコイン投資企業への投資ニーズが強い。
メタプラネットが米国市場で取引可能になれば、同様の評価を獲得し、ビットコイン(BTC)の純資産価値により連動した株価形成が期待できる。
SECによる審査には通常数ヶ月を要するとされ、承認後に正式なADS発行と米国市場での取引開始となる見込みだ。
同社は本件による2025年12月期業績への影響は軽微としているが、中長期的には資金調達力の大幅な強化が見込まれる。