Worldプロジェクト、Chainlinkと連携|WLDがクロスチェーン対応に

OpenAIの共同創業者であるサム・アルトマン氏が主導するWorldプロジェクトは25日、Chainlinkのクロスチェーン相互運用性プロトコル(CCIP)を統合したと明らかにした。
この提携により、WorldのネイティブトークンであるWorld(WLD)は、イーサリアム(ETH)とWorld Chainのネットワーク間でシームレスに転送可能になる。
Worldプロジェクトは、生体認証を活用した人間性の証明プロジェクトとして2023年に発足した。
独自のブロックチェーンインフラであるWorld Chainを基盤に、世界規模のIDおよび金融ネットワークの構築を目指している。
今回の統合でWLDはクロスチェーントークンとなり、異なるブロックチェーン間でネイティブに転送できるようになった。
これは、プロジェクトが初期の生体認証から、既存のブロックチェーンエコシステムとの連携強化へと踏み出す大きな技術的進歩を意味する。
Chainlink統合で流動性と安全性が向上
Chainlink CCIPの導入は、従来のブリッジ技術に伴うリスクを低減しつつ、ブロックチェーンエコシステム全体でWLDの流動性を大幅に強化する。
Worldエコシステムにいる3500万人以上のユーザーは、ETHとWorld Chain間でWLDを円滑に移動させることが可能だ。
また、Chainlinkのデータストリームを採用することで、World Chain上の分散型金融(DeFi)プロトコルに、1秒未満の遅延で価格データを提供できる。これにより、取引時のスリッページが直接的に減少し、取引効率が向上する見込みである。
開発を支援するTools for Humanity社は、この統合がWorldエコシステム全体のセキュリティ、使いやすさ、クロスチェーンアクセスを強化すると述べている。
Chainlink Labsのセオドリス・カラコスタス氏は、安全な転送と正確なデータの組み合わせは、DeFiユーザーにとってより安全な環境を創出し、クロスチェーンアプリとWLD市場の成長を加速させるだろうと強調した。
開発者への新たな可能性と戦略的転換
この統合は、開発者にとっても新たな可能性を拓く。トークン転送だけでなく、異なるチェーン間でスマートコントラクトのアクションを起動できるようになるためだ。
これにより、融資プロトコルや決済アプリケーション、仮想通貨取引所などで、より複雑な機能の実装が可能になる。
公式発表は、ChainlinkのXアカウントを通じて行われた。Tools for Humanityでエンジニアリング担当副社長を務めるスティーブン・スミス氏は、Chainlinkの標準を活用してネットワークを世界規模に拡大したいと述べ、世界展開への意欲を示した。
技術文書によると、データストリームの統合により、開発者は必要な時に価格を取得し、それをオンチェーンに記録して貸付金利やスワップ、リスクチェックに利用できるという。
このアップグレードは、Worldプロジェクトが初期の生体認証に主眼を置いた戦略から、本格的なDeFiインフラを構築する方向へと舵を切ったことを示している。