トム・リー氏の新SPAC、AI・仮想通貨分野で有望企業を発掘へ

著名ストラテジストのトム・リー氏が率いるSPAC、フューチャークレスト・アクイジションは5日、最大2億5000万ドル(約370億円)の新規株式公開(IPO)を米証券取引委員会(SEC)に申請した。
この白紙小切手会社は、AIやフィンテック、暗号資産(仮想通貨)など、次世代の成長分野で有望企業を発掘・買収することを目的としている。
AI・仮想通貨分野を標的にしたSPACの計画
フューチャークレスト・アクイジションは、ナスダック市場への上場を計画しており、ティッカーシンボルFCRSUで取引される予定だ。
同社は2025年8月5日にSECへ非公開で申請手続きを開始しており、今回の公開申請はその最終段階となる。
IPOでは、1ユニットあたり10ドルで2500万ユニットを提供する予定だ。各ユニットには普通株式1株と、1株あたり11.50ドルで行使可能なワラント(新株予約権)の4分の1が含まれる。
引受会社には、調達総額を最大2億9450万ドル(約436億円)まで引き上げる追加購入オプションが付与されている。この取引の単独ブックランナーは、キャンターフィッツジェラルドが務める。
同社の経営陣は、マクロ経済の動向分析と専門的な知識を活用し、これらのセクターで高い成長が見込める企業を評価・選定する方針を掲げている。
トム・リー氏の市場実績と信頼性
このSPACの最大の注目点は、ファンドストラット・グローバル・アドバイザーズの共同創業者であり、著名なマクロストラテジストとして知られるトム・リー氏が陣頭指揮を執ることだ。
リー氏は長年にわたり、強気なビットコインの今後の予測で暗号資産コミュニティから高い評価を受けてきた。
目論見書でも、同氏の過去のビットコインや仮想通貨に関する分析が強調されており、その専門性に対する市場の期待が読み取れる。
今回の申請は、ナスダックがSPACの上場規則を厳格化したタイミングと重なる。新たな規則では、明確な対象産業と経験豊富なリーダーシップが求められており、フューチャークレストはリー氏の実績と明確なセクターターゲティングでこの要件を満たしている。
実績ある業界幹部が率いるSPACへの関心が高まる中、リー氏の存在は投資家にとって重要な信頼材料となるだろう。