テザー社、伊ロボット開発企業へ出資|7000万ユーロを調達

ステーブルコイン大手のテザー社の投資部門は8日、イタリアのヒューマノイドロボット開発企業への出資に参加した。
出資先はイタリア技術研究所からスピンアウトしたジェネレーティブ・バイオニクスだ。今回の資金調達ラウンドでは総額7000万ユーロが集まった。
このラウンドはCDPベンチャーキャピタルのAIファンドが主導した。
テザー・インベストメンツのほか、AMDベンチャーズやエニ・ネクストなどが参加している。
20年以上の研究成果を産業へ
ジェネレーティブ・バイオニクスは2024年7月に設立されたばかりの企業だ。
しかし、その技術基盤はIITにおける20年以上にわたるヒューマノイドロボットの研究開発に基づいている。
同社はIITから主要技術の独占的ライセンスを取得している。これには、触覚センサーネットワークや物理AIアーキテクチャなどが含まれる。
IITのジョルジオ・メッタ科学ディレクターは、同社について次のように述べた。「欧州最大の学術スピンオフであり、科学を産業へ移転する集大成だ」
今回の資金調達は、欧州のヒューマノイドロボット分野におけるディープテック投資としては最大級のものとなる。
IITから約70名のエンジニアが同社の技術部門に合流する予定だ。
2026年の実用化目指す
調達した資金は、ヒューマノイドロボットプラットフォームの産業検証や生産施設の建設に充てられる。
同社は2026年初頭に最初の産業展開プロジェクトを発表する計画だ。
ターゲットとする市場は製造、物流、医療、小売など多岐にわたる。特に、反復作業や危険な業務、高負荷な作業を担うロボットの導入を目指している。
同社のダニエレ・プッチCEOは、ヒューマノイドロボット市場の成長性に自信を見せている。
国際的な分析によれば、市場規模は2035年までに2000億ユーロを超えると予測されている。
テザー社の参加は、暗号資産(仮想通貨)業界が物理的なAI実装に関心を寄せていることを示している。
同社は、人間中心の設計と高度なAIを融合させたロボットエコシステムの構築を支援する。
テザー社は主要なステーブルコインであるUSDTを通じて得た利益を、先端技術分野へ還元している。
市場では、こうした動きがAI仮想通貨銘柄への関心を高める要因になるとも見られている。