ストラテジー、MSCIのビットコイン保有企業除外案に反発

ビットコインを大量に保有するストラテジーは10日、指数プロバイダーのMSCIに対し、新たに提案された除外基準の完全撤回を求める公開書簡を提出した。
MSCIは10月、総資産の50%以上をデジタル資産が占める企業をグローバル投資可能市場指数から除外する案を発表している。
市場への影響と政治的矛盾
これに対しストラテジーは、マイケル・セイラー会長らの署名入りで12ページに及ぶ書簡を提出し、強く反発した。
同社は、この基準が業界の公平性を著しく損なうと主張している。
デジタル資産関連企業のみを規制対象とするのは、石油大手やREITなど他の資産クラスを制限していないため、恣意で差別的だと批判した。
ストラテジーがMSCI指数から除外された場合、市場への影響は大きいと見られている。
JPモルガンのアナリストは、同社単独でも約28億ドルのパッシブ資金流出を招く可能性があると警告した。
さらに、他の主要な指数プロバイダーが同様の判断を下した場合、資金流出額は最大で88億ドルに達する恐れがあるという。
市場関係者の間では、こうした動きがデジタル資産市場全体の流動性に波及するとの懸念が広がっている。
同社はまた、MSCIの提案がトランプ政権の戦略目標とも矛盾すると指摘した。
米国をデジタル資産分野のリーダーにするという政府方針に反しており、指数プロバイダーとしての中立性や包括性を欠いていると論じている。
ストラテジーは、ビットコインの採用が企業の成長戦略として正当である点を強調した。
ナスダック100への残留と今後の見通し
一方で、ナスダックはストラテジーをナスダック100指数に今後12カ月間残留させることを確認している。
この決定は、ビットコインを主要な財務資産とするマイクロストラテジーにとって一定の安心材料となる。
この指数調整は22日に発効予定であり、同社は主要指数での地位を当面維持できる見通しだ。
一方、MSCIは今回の除外基準に関する協議期間を31日まで延長し、最終判断を2026年1月15日に下すとしている。
ストラテジーは代替案として、「デジタル資産保有企業を除外した別指数」の創設を提案している。
今回の論争は、伝統的な金融インフラが新興のデジタル資産戦略をどのように受け入れるかを問う重要な試金石となりそうだ。
MSCIの決定は、関連企業の株価だけでなく、仮想通貨業界全体の将来的な位置付けにも影響を与える可能性がある。