メタプラネット初、企業価値がBTC保有下回る|mNAVは1割れ

ビットコイン BTC +0.92%を軸とした財務戦略を掲げるメタプラネットは14日、企業価値をビットコイン保有額と比較する独自指標「mNAV」が、初めて1を割り込んだ。
mNAVは、企業の時価総額と総負債を合計した額を、保有するビットコインの純資産価値(NAV)で割って算出される。
この数値が1を下回るということは、市場が企業の事業運営を含めた全体の価値を、保有する暗号資産(仮想通貨)の価値よりも低く評価していることを意味する。
株価急落が招いた異例の事態
この評価逆転の背景には、メタプラネットの株価急落がある。
同社の株価は2024年6月中旬の1895円から75%下落し、約3.20ドルまで落ち込んだ。
これにより時価総額が大幅に縮小し、mNAVの低下に直結した。
市場関係者は、仮想通貨を積極的に購入するための資金調達が、伝統的な株式投資家の間でリスクへの警戒感を高めたと分析している。
さらに、メタプラネットはこの時期に第20回から第22回の新株予約権の行使を一時停止すると発表。
「戦略の最適化」が目的とされているが、投資家の不安心理を助長した可能性もあると指摘されている。
ビットコイン価格の変動性や、日本における規制動向も投資家心理に影響を与えた。
企業戦略の持続可能性に疑問符
mNAVの低下は以前の水準から7ポイント以上の下落であり、市場認識の劇的な変化を示している。
理論上、企業の価値が保有資産の価値を下回る「裁定取引」の機会が発生している状態だ。
こうした事例は極めて稀であり、通常は企業のビットコイン保有以外の事業に対して、市場が深刻な懐疑的見方をしているサインとされる。
金融アナリストの間では、仮想通貨を財務資産として大きく依存する企業戦略の持続可能性について議論が高まっている。
仮想通貨投資への過度な依存は危険であるとの指摘もあり、日本の著名な上場企業によるBTC戦略の今後が注目される。
今回の出来事が一時的な市場の異常なのか、それとも構造的な変化の前兆なのか、関係者の視線が集まっている。