キルギス、金担保ステーブルコイン「USDKG」発行|米ドル連動

キルギス共和国の国営企業OJSC Virtual Asset Issuerは1日、金を裏付け資産とする新たなステーブルコインUSDKGを正式に発行した。
金に裏打ちされたデジタル資産の誕生
このプロジェクトは中央アジアにおける金融革新の一環として位置づけられており、10月31日に最初の発行が登録され、1日に正式な運用が開始された。
初回発行額は5014万738USDKGで、これは約5000万ドルに相当する。
USDKGの最大の特徴は、その価値が米ドルと1対1で連動している点だ。
さらに、発行されたトークンの価値を完全に裏付けるため、物理的な金がキルギス国内に保管されている。
当初はトロン(Tron)ブロックチェーン上で発行されるが、将来的にはイーサリアム(ETH)チェーンへの拡張も計画されている。
スマートコントラクトの安全性については、ブロックチェーンセキュリティ企業のConsenSys Diligenceによる監査を受けており、技術的な信頼性も確保されている。
このステーブルコインは、保有者がいつでも米ドル、キルギスの現地通貨ソム、物理的な金、或いは承認された他の仮想通貨と交換できる仕組みを持っている。
準備金の状況はデジタル台帳を通じて透明性が保たれており、独立した検証が可能だ。
これにより、利用者は資産の裏付けを常に確認できる環境が整えられている。
官民連携による運営モデルと目的
今回のプロジェクトは、一般的な中央銀行デジタル通貨とは異なるアプローチを採用している。
発行主体は国が100%出資する企業だが、実際の運営や金の管理は民間の「Gold Dollar」社が契約に基づいて担当する。
この役割分担により、国家による監督と民間企業の効率的な運営を両立させ、権限の集中リスクを軽減する狙いがある。
サディル・ジャパロフ大統領やアルマズ・バケタエフ財務大臣が出席したローンチ式典では、象徴的なボタン操作によって発行が開始された。
政府は、USDKGの開発目的について、地政学的意図よりもクロスボーダー決済システムの近代化や国際貿易における経済的透明性の向上にあると強調している。
既存の国家通貨システムと競合するのではなく、補完する役割を果たすことが期待されている。
キルギスは2022年に「仮想資産法」を制定しており、これは中央アジアでも特に体系的な規制枠組みの一つと評価されている。
USDKGはこの法的基盤の上で運用され、マネーロンダリング対策や顧客確認の国際基準にも準拠している。
これにより、機関投資家や企業が安心して利用できる環境を提供することを目指している。
将来的な拡大と地域への影響
プロジェクトのロードマップによると、次のフェーズでは金の裏付け資産を5億ドル規模まで拡大する計画がある。
長期的には担保資産を20億ドルまで成長させることを目標としており、市場の需要に応じたスケールアップが見込まれている。
これにより、財務省の資金管理や企業の決済手段としての利用が促進されるだろう。
USDKGは、伝統的な金融システムと仮想通貨エコシステムの架け橋となることを目指している。
インフレ耐性のある資産を基盤とすることで、価値の保存手段としての機能も期待される。
キルギス政府は、この取り組みを通じて、規制された資産裏付け型デジタル通貨の先駆者としての地位を確立しようとしている。
新興国市場において、ブロックチェーンインフラを統合しつつ国家の監督権限を維持するモデルケースとして、他国からの注目も集まりそうだ。
実物資産のトークン化が進む中、国家レベルでの金担保ステーブルコインの実装は、仮想通貨業界全体にとっても重要な事例となるだろう。