IREN、マイクロソフトとAI契約で株価30%急騰

ナスダック上場のビットコイン(BTC)マイニング企業IRENは3日、マイクロソフトとの人工知能(AI)クラウドホスティング契約を行った。
この報道を受け、同社株は時間外取引で30%近く急騰した。
この契約は、IRENが従来のビットコイン採掘中心の事業モデルから、AIインフラ市場へ本格的に参入する転換点となる可能性がある。
マイクロソフトとの大型契約の概要
IRENの発表によると、マイクロソフトとのGPUクラウドサービス契約は5年間で総額97億ドルに上る。
契約に基づき、IRENはNVIDIA製の最新GPU「GB300」への段階的アクセスを提供する。
契約には、設備導入を支援するため総額の20%が前払いされる条項が含まれている。
この資金はテキサス州チルドレスに建設予定の750MWキャンパスのデータセンター整備に充当される。
「Horizon 1-4」と名付けられた新施設群は、合計200MWのIT負荷容量を備え、液体冷却技術を採用する。
さらにIRENは、契約履行に向けデル・テクノロジーズと58億ドルの機器調達契約を締結している。
近年は高性能GPUを活用したAI仮想通貨プロジェクトも拡大しており、同分野への資金流入が続いている。
AI事業への転換と市場への影響
今回の提携は、IRENが推進する垂直統合型AIクラウドモデルの実現に向けた重要な一歩だ。
生成AI需要が急拡大する中、マイクロソフトがGPU供給先としてIRENを選択したことは、同社のインフラ能力への高い評価を示す。
前払い金により財務リスクは軽減される一方、大規模インフラ整備を期限内に完了させるという課題も残る。
アナリストは「契約が順調に履行されれば、IRENはBTCマイニング企業から主要AIインフラ企業へと事業モデルを転換できる」と指摘する。
施設展開は2026年を通じて進行し、稼働開始に合わせてマイクロソフトがGPU容量を段階的に利用可能となる見込みだ。
IREN経営陣は、今回の契約を起点に他のハイパースケール企業の誘致も検討しており、AIインフラ事業への本格移行を加速させる姿勢を示している。
この動向は、仮想通貨市場全体にも波及する可能性がある。