カナダ政府、法定通貨担保型ステーブルコインの規制法案導入へ

カナダ連邦政府は5日、2025年度予算案で法定通貨を担保とするステーブルコインに関する規制法案を導入する計画を明らかにした。
新法案は発行者に対し十分な準備金の保有、明確な償還メカニズムの確立、リスク管理体制の整備、利用者データの保護を義務付ける。
カナダ銀行が監督の中心的役割を担い、2026年度から2年間で1000万ドルの資金提供を受ける。
7月に米国で成立したジーニアス法に続く動きで、米ドル建てステーブルコインへの資本流出を懸念する声に応えた形だ。
金融システム近代化の一環
カナダ銀行は2026-27年度から2年間で統合歳入基金から1000万ドルの資金提供を受けた。
その後の年間運営費約500万ドルは規制対象の発行者が支払う手数料で賄われる予定だ。
政府はまた、2021年に可決されたリテール決済活動法を改正し、ステーブルコイン取引を扱う決済サービス提供者も監督対象に含める方針。
この取り組みは、カナダが進める広範な決済システム近代化の一環に位置付けられる。
2026年稼働予定のリアルタイム決済システムや、2027年半ば導入が計画されているオープンバンキング構想と連携する。
米国追随と金融主権保護が背景
カナダの動きは、米ドル建てステーブルコインが3090億ドル規模に達し、米財務省が2028年までに2兆ドルへ成長すると予測する中で進められた。
業界関係者は、国内枠組みがなければカナダ国民が米ドル建てトークンへ資産を移し、カナダ国債の需要低下と金融主権の喪失を招くと警告していた。
マベリックス・プライベートのジョン・ルフォロ創設者は「カナダ人が米国のステーブルコインで取引するたびに、米国の債務に資金を提供し、金融データを南に輸出している」と指摘。
カナダ銀行と金融機関監督庁も国家的枠組みの必要性を訴えていた。
テトラ・デジタル・グループのディディエ・ラヴァレCEOは「金融セクターのイノベーションを高めるための素晴らしい一歩だ」と評価。
ステーブルコインを証券ではなく決済手段として規制する方針を歓迎した。
このような規制強化は投資家保護を目的としており、安全な暗号資産(仮想通貨)投資環境の整備に向けた一歩と見られている。