カルビー、ブロックチェーンでIP管理「かるれっと」実証実験開始

ブロックチェーン
暗号資産ジャーナリスト
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カルビー株式会社は17日、同社初となるブロックチェーン技術を活用した知的財産(IP)管理プラットフォーム『かるれっと』を開発し、実証実験を開始した

このプラットフォームは、二次創作における外部クリエイターの与信管理やライセンス業務を簡素化し、IP事業の課題解決を目指すものである。

IP事業拡大に向けた新たな一手

カルビーの新規事業を担う「Calbee Future Labo」は、2023年からキャラクターIPを活用したグッズ展開などを進めてきた。その結果、同社のライセンス商品は1年間で約80%増加し、顧客との接点が多様化している。

今回開発された『かるれっと』は、「カルビー」と「ウォレット」を組み合わせた造語だ。このプラットフォームにより、登録クリエイターは自身の制作デザインをライセンス展開し、迅速かつ容易にカルビーやライセンシーと契約を結ぶことが可能になる。

さらなるIP活用と顧客接点の拡大を目指す中で、このブロックチェーン技術を用いたプラットフォームが考案された。

実証実験の第1弾として、「じゃがりこドリーム2nd 『じゃがりこ細いやつ』グッズデザインコンテスト」の入賞クリエイター8名と『かるれっと』を通じて契約を結ぶ。入賞作品のデザインを用いた商品企画を進める予定だ。

将来的には、カルビー商品の食べ音を使った音楽レーベルの立ち上げや、新たなクリエイターコンテストの実施も計画されている。

テクノロジーでクリエイターと企業をつなぐ

『かるれっと』は、分散型ID(DID)とブロックチェーン技術を基盤としている。二次創作におけるIPの発行、所有、移転、利用履歴を、検証可能なデジタル証明書(VC)として安全かつ改ざん不可能な形式で記録・共有する。

公的個人認証サービス(JPKI)を用いた認証情報とDIDを連携させることで、信頼性の高い権利証明と管理を実現した。また、国際的な標準規格であるW3Cに準拠した設計により、他システムとの相互運用性も確保している。

このシステムの分散型IDおよび検証可能なデジタル証明書は、DataGateway Pte. Ltd.が提供する「Woollet」との連携で実現された。同社が持つ自己主権型ID(SSI)技術や、高いプライバシー保護を実現するゼロ知識証明(ZKP)の活用により、IP事業の課題解決に貢献する。

今回の『かるれっと』のような取り組みは、ブロックチェーン技術の応用範囲が暗号資産(仮想通貨)の領域にとどまらず、様々な産業へと広がっていることを示す好例である。

企業独自のプラットフォーム開発だけでなく、汎用的なweb3ウォレットとの連携なども今後の可能性として考えられるだろう。このような技術革新が、仮想通貨の次に流行るものとして注目される分野の一つとなるかもしれない。

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