テザー社と国連が連携、アフリカ全域でサイバー犯罪対策を強化

ステーブルコイン発行大手のテザー社は9日、国連薬物犯罪事務所(UNODC)と連携し、アフリカ全域におけるサイバーセキュリティ対策を強化する方針を明らかにした。
急成長する市場と高まるリスクへの対応
今回の取り組みは、国連が推進するアフリカ戦略ビジョン2030に沿ったもので、安全なデジタル金融基盤の構築を目的としている。サイバーセキュリティに関する教育の充実や、金融取引の透明性向上を重点施策に据える。
特に若年層や社会的に脆弱な立場にある人々を対象とした教育プログラムを通じ、暗号資産(仮想通貨)関連の詐欺被害を未然に防ぐ狙いがある。
UNODCのガーダ・ワリー事務局長は、デジタル資産がアフリカの経済・社会変革を支える重要な要素であると強調した。
背景には、アフリカ地域で深刻化するサイバー犯罪の増加がある。インターポールは直近の調査で、同地域において約2億6000万ドル規模の不正資金活動を摘発したと報告している。
サハラ以南アフリカでは仮想通貨の利用が急速に拡大しており、2025年6月までの1年間で2050億ドル超のオンチェーン取引価値が流入した。
そのうちステーブルコインが全体の43%を占め、決済や送金といった実需の高さが際立っている。
中でもナイジェリアでは、インフレ対策や国際送金手段としてステーブルコインを理解した利用者が増加し、同国だけで921億ドル相当の取引が記録された。
一方で、急激な普及は犯罪組織による悪用リスクも伴っており、官民が連携した包括的な対策が求められている。
教育と人道支援を組み合わせた包括的な取り組み
今回の提携では、具体的な支援施策も打ち出されている。セネガルでは若年層を対象にサイバーセキュリティ教育を実施し、実践的なブートキャンプや継続的なメンターシップの提供を進める。
あわせて、ナイジェリアやエチオピアなど複数の国において、人身売買の被害者を支援する市民団体への資金援助も行う。技術分野での知見と人道的支援を結び付けた点が特徴だ。
テザーのパオロ・アルドイノCEOは、搾取や犯罪を防止するには分野横断的な協力体制が不可欠であると強調している。
同社は今後、法執行機関向けのトレーニング提供などを通じて、地域全体のデジタルインフラ強化にも寄与する方針を示した。