テザー社の金保有116トンに到達|韓国やギリシャと同等規模へ

ステーブルコイン最大手テザー社はこのほど、金保有量が116トンに達し、韓国やギリシャなど中小国家の公的準備金に匹敵する規模となった。
中央銀行を除く単一保有者としては世界最大級で、2025年Q3だけで26トンを買い増すなど積極的な金蓄積を続けている。
ロイターが11月25日、投資銀行ジェフリーズのレポートをもとに報じた。
テザー社の金保有、中小国家の公的準備金に匹敵
ロイターが入手したジェフリーズの最新レポートによると、テザー社の金保有量は116トンで、韓国・ハンガリー・ギリシャなど中小国家の公的準備金に匹敵する。
内訳はステーブルコインであるUSDT準備金の裏付けとして104トン、金担保トークンXAUtの裏付けとして12トン。
ジェフリーズは時価ベースで約140億ドルと試算している。
テザー社の公式準備金レポートによると、総準備資産は約1812億ドルで、貴金属が約129億ドルを占める。
2025年Q3だけで26トン購入、世界需要の約2%
ロイターが報じたジェフリーズの分析では、テザー社は2025年Q3の3か月間だけで約26トンの金を追加購入。
これは同期間の世界金需要の約2%、中央銀行の純購入量の約12%に相当する。
同レポートによると、2025年を通じて週平均1トン以上のペースで金を買い続けている。
ジェフリーズが投資家から得た情報では、テザー社は2025年中にさらに100トンの取得を目指しているという。
テザー社のパオロ・アルドイノCEOは2025年の利益見通しを150億ドルとしている。
同社は2023年5月から四半期利益の15%を将来性が高いビットコイン(BTC)の購入に充てる方針を採用。
ジェフリーズは利益の半分を金購入に充てた場合、年間約60トンの追加購入が可能と試算する。
金市場への影響力を拡大、HSBC幹部も招聘
テザー社は金の直接保有だけでなく、金採掘・ロイヤリティ企業へも3億ドル以上を投資している。
6月にはカナダの金ロイヤリティ企業エレメンタル・アルタス・ロイヤリティーズの株式32%を取得した。
さらにHSBCからヴィンセント・ドミエン取引責任者とマシュー・オニール責任者を招聘。
両氏は今後数か月以内に合流予定とされる。
2025年の金価格は年初来で約56%上昇し、10月中旬には1オンス4379ドルの史上最高値を更新。
足元では約4100ドル前後で推移している。
ジェフリーズはテザー社の積極的な買い増しが短期的な供給逼迫と市場センチメントに影響を与えている可能性を指摘している。