スタンダード・チャータード、イーサリアム価格予想を下方修正

スタンダード・チャータード銀行は17日、イーサリアム(ETH)の2025年末価格目標を従来の1万ドル(約149万円)から4000ドル(約59万6000円)へと大幅に下方修正したと発表した。
同銀行によると、この価格予想の引き下げはイーサリアム(ETH)エコシステムが直面する構造的な課題、特にレイヤー2(L2)ソリューションが同ネットワークの収益と時価総額に与える影響を考慮したものだという。
レイヤー2ネットワークはイーサリアムのスケーラビリティを向上させ、取引手数料や混雑を軽減するよう設計されているが、メインネットワークからの収益を分散させる効果もあると指摘している。
レイヤー2ソリューションによる収益流出
コインベースが運営するBaseをはじめとするレイヤー2ネットワークが、イーサリアムの収益と時価総額の低下に大きく影響していると同銀行は分析している。
これらのL2ソリューションはイーサリアムのエコシステムに貢献するのではなく、コインベースなど各自のプラットフォームに利益を還元していると指摘した。
イーサリアムは、より効率的な代替手段が登場するにつれ、ブロックチェーン分野における支配力が低下していることも同銀行の決定に影響を与えたとされる。
同銀行は、イーサリアムがその立場を安定させるためには、L2ソリューションへの課税などの対策を実施する必要があると提言している。
さらに同銀行は、2027年末までにETH/BTCの比率が0.015まで低下すると予測しており、これはイーサリアムが中期的にビットコインよりもパフォーマンスが劣る可能性を示唆している。
競争激化と将来展望
イーサリアムは、より高速な取引処理と低コストを提供するソラナ(SOL)などのブロックチェーンからの競争激化にも直面している。
ユニスワップなどの主要プロジェクトが独自のブロックチェーンに移行し始めていることも、イーサリアムの収益シェアをさらに侵食している要因だ。
しかし、これらの課題にもかかわらず、イーサリアムのコミュニティは失われた経済活動を取り戻すため、実行レイヤーの改善に注力している。
具体的には、トランザクションのスループットを向上させるためにガスリミットを増加させるなどの取り組みが進められている。
スタンダード・チャータード銀行は、ビットコイン(BTC)が大幅な上昇を経験すれば、イーサリアムの価格も上昇する可能性があると指摘しつつも、中期的には相対的にパフォーマンスが低下する可能性について警告している。
現在のイーサリアム価格は約3100ドル(約46万2000円)前後で推移しており、同銀行の新しい予測は約29%の上昇余地を示唆している。