ソニー発ソニューム活用、アイドル応援アプリ公開|推し活記録

YOAKE entertainmentは11月28日、アイドルイベントIDOL RUNWAY COLLECTION 2026(IRC 2026)の公式アプリ「IRC APP」をリリースし、オープニングアクトオーディションを開始した。
このアプリは、ソニーグループが開発するイーサリアム(ETH)のレイヤー2ブロックチェーンSoneiumを基盤としている。
Soneium活用した推し活の可視化
今回リリースされたIRC APPは、日本最大級のアイドルとファッションの祭典であるIRC 2026に向けた公式プラットフォームだ。
最大の特徴は、Soneiumのブロックチェーン技術を活用し、ファンのソーシャルメディア上での活動を変更不可能な貢献データとして記録する点にある。
これまで数値化が難しかったファンの熱意や貢献を透明性のある形で可視化し、それに応じた報酬や投票権を付与する仕組みを導入した。
開発を主導したYOAKE entertainmentは、ソニーグループやアソビシステムなどの大手エンターテインメント企業から支援を受けている。
この取り組みは、IPFi(知的財産ファイナンス)の実証実験としての側面も持ち、世界第2位の規模を誇る日本の音楽市場から、クリエイティブコミュニティの経済的潜在力を引き出すことを目指しているという。
ウォレット不要で一般層に普及へ
ブロックチェーン技術を利用したアプリでありながら、ユーザー体験を最優先に設計されている点も注目される。
アカウント抽象化(AA)と呼ばれる技術を採用することで、仮想通貨特有の複雑なウォレット作成や専門知識を不要にした。
ユーザーはLINE、Google、Appleなどの既存のアカウントを使用してログインするだけで、すぐにサービスを利用開始できる。
従来であればメタマスクなどのツールが必要だったが、そうした手間を一切省いている。
このシステムは、2025年1月に実施されたベータテストですでに検証済みだ。当時のテストでは6万人以上のユーザーがオンチェーンでの活動に参加し、一般的なファン層が違和感なくブロックチェーン技術を利用できることが証明された。
この成功を受け、大規模なイベントであるIRC 2026での本格導入が決定した。
貢献度に応じたランク制度と特典
アプリ内には、AI SNS Trendsというシステムが搭載されている。
ファンがX(旧Twitter)で参加アーティストに関する肯定的な投稿を行うと、自動的に「IRCスコア」が獲得できる仕組みだ。
獲得したスコアはブロックチェーン上で管理され、手数料なしで自身の貢献として蓄積される。
その基盤技術にはイーサリアムのエコシステムが活用されている。
蓄積されたスコアに応じて、会員ランクはレギュラー、ブロンズ、シルバー、ゴールドの4段階に分けられる。
上位ランクの会員には、チケットの先行購入権や優先入場、会場でのプレミアムな体験などの特典が提供されるほか、イベントの演出などに影響を与える投票権も多く付与される。
IRC 2026は2026年3月15日に国立代々木競技場第一体育館で開催され、乃木坂46などの人気グループが出演する予定だ。
Soneiumは、このプロジェクトを現実世界のファンダムとオンチェーン技術を統合した最大規模の事例と位置付けている。
現在はアイドル文化に焦点を当てているが、将来的には音楽、アニメ、ファッションなど、他のクリエイティブ産業への展開も視野に入れているという。
技術がファンの情熱を代替するのではなく、拡張するためのツールとして機能することが期待されている。