ソラナ創設者、ビットコイン「量子危機」に警鐘|2030年まで

ソラナ(SOL)の共同創設者アナトリー・ヤコヴェンコ氏は20日、ビットコイン(BTC)が2030年までに耐量子署名へアップグレードしなければ、量子コンピュータによってそのセキュリティが破られる可能性があると警告した。
同氏は、今後5年以内に量子コンピュータがビットコインの秘密鍵を解読する確率が50%に達すると指摘し、現在の暗号資産(仮想通貨)の基盤技術が深刻な脅威に直面していると警鐘を鳴らしている。
量子コンピュータがもたらす「存亡の危機」
ヤコヴェンコ氏の警告の中心にあるのは、量子コンピュータが「ショアのアルゴリズム」を用いてビットコインの根幹である楕円曲線暗号(ECC)を破るリスクだ。
これが現実となれば、攻撃者は取引を偽造して資金を盗むことが可能となり、ビットコインネットワークの信頼性に対する「存亡の危機」をもたらすと同氏は強調する。
同氏は、ビットコインの不変の暗号プロトコルを脆弱性と見なし、ソラナのように常にセキュリティ構造を更新する新しいブロックチェーンとの違いを指摘した。
この脅威を回避するためには、ビットコインが2030年までに耐量子署名方式を採用する必要がある。
しかし、この移行はビットコインのコンセンサス形成において大規模な変更と世界的な調整を要求するため、技術的に極めて複雑な課題となる。
迫る脅威とビットコインの課題
この警告の背景には、GoogleやIBMといった大手企業による量子ハードウェア開発の急速な進展がある。
これらの技術進歩は、暗号解読が現実味を帯びる領域に近づいており、現在のビットコインのセキュリティモデルに直接的な挑戦を突きつけている。
一方で、ビットコインや仮想通貨はその分散性を維持するため、歴史的に「コア設計への大きな変更」に抵抗してきた。
この硬直的なガバナンス構造は、米国国立標準技術研究所(NIST)が耐量子暗号(PQC)の標準化を進めるなど、業界が積極的に対策を講じている動きとは対照的だ。
この問題に対しては、Blockstreamのアダム・バックCEOやBitcoin Core開発者のピーター・トッド氏など、短期的なリスクを軽視する専門家もいる。
しかし、ヤコヴェンコ氏は、自身の発言は恐怖を煽るものではなく、今から防御を構築するための現実的な呼びかけだと説明した。
量子耐性は、ブロックチェーンの生存をかけた戦略的優先事項となりつつある。