Mt.Gox、ビットコインを謎ウォレットに移動|3300億円相当

破綻した仮想通貨取引所のMt.Goxは5日、約2.2億ドル(約3300億円)相当のビットコイン(BTC)を未確認のウォレットに移動した。データ分析企業Arkhamが明らかにした。
大規模な資金移動の詳細
Mt.Goxはコールドウォレットから2つの未確認アドレスへビットコインを移動させた。
約30300BTCが「1FG2C…Rveoy」というウォレットに、2000BTCが同社のコールドウォレット「1Jbez…LAPs6」を経由して、未確認ウォレット「15gNR…a8Aok」に送金された。
この動きは、先日約500BTC(約53億円相当)を2つの未確認ウォレットに移動させてから間もない出来事だ。
9月下旬以来最大規模の資金移動となり、債権者への返済戦略に関する議論を呼んでいる。一連の動きは、暗号資産(仮想通貨)市場で大きな注目を集めている。
債権者への支払い期限延長の影響
Mt.Goxの破産管財人は最近、債権者への返済期限を2025年10月31日まで延長した。2014年の破綻で影響を受けた人々への補償を管理する複雑なプロセスに、より多くの時間が必要となっている。
この延長により、債権者は予定よりも1年長く待つことになる。しかし市場はこれを好意的に受け止めている。数十億ドル相当のビットコインが即座に清算される可能性が低くなり、価格の大幅な下落リスクが軽減されたためだ。
Mt.Goxは2014年の破綻当時、ビットコイン取引の70%以上を取り扱う世界最大の取引所だった。大規模なハッキング被害により数十万BTCを失い、仮想通貨史上最大級のセキュリティ事件として記録されている。
市場への潜在的な影響
Mt.Goxの債権者には、推定65000から140000BTCもの大量のビットコインが返還される見込みだ。このような大量の供給が一気に市場に出回れば、需要と供給の原則に従って価格が下落する可能性がある。
今回の500BTCの移動のような仮想通貨取引所の大規模な資金移動は、投資家心理に波及効果をもたらすことがある。
大量の売り圧力を懸念する投資家が先回りして売却を始めると、実際の供給増加がなくても価格下落を引き起こす可能性がある。
一方で、市場専門家らは、分割での返還や債権者の長期保有意向により、実際の売り圧力は限定的になる可能性も指摘している。
現在のビットコイン市場の取引高を考慮すると、影響を最小限に抑えることができるとの見方もある。今後の資金移動の動向と、それに伴う市場への影響について、投資家たちは注視を続けている。