モブキャストHD、ソラナ事業開始|上場維持へ財務戦略を強化

東証グロース市場に上場するモブキャストホールディングスは3日、新事業「ソラナ・トレジャリー事業」を開始した。
発表によると、本事業は財務基盤の戦略的強化と株主価値の向上、さらに上場維持基準の達成を目的としている。
モブキャストHDは、この新事業を企業価値を大きく押し上げる次世代の成長戦略と位置づけており、主力であるソーシャルエンターテイメント&メディア事業との連携を通じて、社会貢献と企業成長の両立を目指す方針だ。
上場維持を目的とした異例の財務戦略
今回の戦略の背景には、東京証券取引所による上場基準の改定がある。この変更により、時価総額が小規模な上場企業にとっては、株価の維持と向上が急務となった。
モブキャストHDは、事業目的の一つとして上場維持基準の達成を明確に掲げており、成長目的で暗号資産(仮想通貨)を保有する企業と差別化を図っている。
世界的にはデジタル資産財務企業(DATCO)の導入が広がっており、国内でもメタプラネットがビットコイン(BTC)を採用するなど動きが活発化している。
その中で同社はソラナ(SOL)を選択し、独自の財務戦略として差別化を図っている。
市場関係者の間では、こうしたDATCO戦略が小型上場企業の株価対策として即効性を発揮する可能性があるとの見方も出ている。
なぜソラナを選択したのか
同社が数ある暗号資産の中からソラナを採用した理由は、その圧倒的な技術的優位性にある。
ソラナは毎秒数千件のトランザクションを処理できる高いスループットを誇り、平均手数料も数円以下と極めて低コストだ。この特性が、同社が掲げるWeb3エコシステム構築の方針と合致した。
モブキャストHDは、新株予約権および無担保社債の発行を通じて約13億6420万円を調達し、その資金を主にソラナ・トレジャリー事業に充当する。
加えて、SIAP関連費用や新規IP創出への投資にも活用される予定だ。
同社はソラナを、高速・低コストなネットワーク特性に加え、ステーキングによるインカムゲインの可能性や高い将来性・独自性の観点からも高く評価している。
新事業は12月期から収益貢献が見込まれ、主力であるエンターテインメント事業とのシナジーも期待されている。
今回の発表により、同社はビットコインではなくソラナに軸足を置く方針を明確化した。これにより、日本初のDATCOとして市場をリードする存在となることを目指している。