米Mill City、Sui特化の企業財務を設立|約675億円を調達

ナスダック上場企業のMill City Ventures IIIは31日、4億5,000万ドル(約675億円)の第三者割当増資(PIPE)を完了した。
特殊金融を手がける同社は、この資金をSuiブロックチェーンのネイティブトークンSui(SUI)に特化した、上場企業初の企業財務設立に充てる。
今回の資金調達は、ロンドンを拠点とするデジタル資産専門のヘッジファンドであるKaratage Opportunitiesが主導。Suiネットワーク開発を支援するSui財団も同額を出資している。
調達資金の約98%は公開市場での購入やSui財団との店頭取引などを通じたSUIトークン取得に割り当てられる予定だ。残りの2%は、Mill Cityの既存の貸付事業資金に活用される。
デジタル資産領域への戦略的転換
Mill CityのSuiへの戦略的な方向転換は、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)を企業財務に組み込む成功事例に続き、ブロックチェーンを基盤とする財務戦略に対する機関投資家の関心が高まっている現状を明確に示している。
Suiは、スケーラビリティと高効率性を特徴とするレイヤー1ブロックチェーンであり、特にAI統合型アプリケーションに適していると評価されている。
この事業再編に伴い、Karatageの共同創設者であるマリウス・バーネット氏がMill Cityの取締役会会長に就任し、スティーブン・マッキントッシュ氏が最高投資責任者に指名された。
Galaxy DigitalやPantera Capitalといった大手機関投資家がこの動きに関与していることは、Suiエコシステムに対する高い信頼の表れと言える。
Suiブロックチェーンの潜在力とMill Cityの成長戦略
今回の第三者割当増資では、普通株式8,302万5,830株が1株あたり5.42ドル(約813円)で発行された。この取引は米国の証券法に準拠した私募形式で実施された。
Mill CityはSui財団との直接契約を通じて、特定の条件下でSUIトークンを確保することが可能となる。
これは、同社の暗号資産(仮想通貨)財務戦略とSuiの成長を連携させる上で極めて重要な要素だ。この取り組みは、Mill Cityが従来の貸付事業から脱却し、分散型金融(DeFi)やエンタープライズソリューションにおけるSuiの潜在能力を最大限に活用すべく、ブロックチェーンへのエクスポージャーを優先する姿勢を示している。
今回の戦略的転換により、Mill CityはSuiのインフラストラクチャを活用し、機関投資家向け金融とWeb3のイノベーションを橋渡しする、企業ブロックチェーン財務の先駆者としての地位を確立した。