ミルシティ、Sui財務戦略で約666億円を調達|SUIを中核資産に

ナスダック上場の金融会社ミルシティ・ベンチャーズIIIは28日、スイ(SUI)を企業財務資産とする戦略を目的とした4億5,000万ドル(約666億円)の私募増資を発表した。
短期融資を専門としてきた同社は、SuiブロックチェーンのネイティブトークンであるSUIの取得に事業の中心を移す。
企業財務戦略をSUIへ転換
今回の私募増資は、ロンドンを拠点とするヘッジファンドのKaratageが主導し、Sui財団も同額を出資した。調達資金の約98%がSUIトークンの取得に充てられる。
これは近年における暗号資産(仮想通貨)ネイティブな財務戦略の中でも最大級の機関投資家による資金配分であり、ミルシティのバランスシートはSUIを中心とした構成へと変化する見込みだ。
この戦略転換に伴い、Karatageの創設者であるマリウス・バーネット氏が会長に、スティーブン・マッキントッシュ氏が最高投資責任者(CIO)に就任し、ブロックチェーンインフラへの事業転換を推進する。
Suiエコシステムへの高まる信頼と技術的優位性
今回の増資には、Big Brain Holdings、Galaxy Digital、Pantera Capital、Electric Capital、ParaFi Capitalといった主要な仮想通貨ファンドも参加しており、Suiのエコシステムに対する高い信頼が示された。
この技術は、高頻度の人工知能(AI)スマートコントラクト、ステーブルコイン決済、ゲームなど、大規模なユースケースを可能にする。
Mysten Labsの共同創設者であるアデニイ・アビオドゥン氏は、Suiブロックチェーンが広範な普及の準備を整えていると強調している。
市場への影響と今後の展望
仮想通貨分析ツールAlvaAppは、ミルシティによる大量のSUI取得が市場の流動性を低下させ、「供給の逼迫」を引き起こす可能性があると指摘し、結果として価格変動性の高まりを懸念している。
今回の私募増資では、1株あたり5.42ドル(約802円)で8,300万株が発行され、規制当局の承認を経て2025年7月31日までに取引が完了する予定だ。
Suiはステーブルコイン、分散型金融(DeFi)、ゲーム分野を重点領域としており、今回の戦略転換により、ミルシティはビットコインやイーサリアムといった既存の仮想通貨保有に加えて、Suiへの機関投資家向け窓口としての地位を確立することになる。
この発表に対し、SUIの価格は過去24時間で1.7%下落するなど、市場の反応は分かれている。