クラーケン、RWAトークン大手Backed Finance買収|IPO控える

暗号資産(仮想通貨)取引所大手のクラーケンは2日、スイスを拠点とするトークン化資産プラットフォームのBacked Financeを買収したと明かした。
今回の買収により、クラーケンは急速に成長する現実資産(RWA)のトークン化分野へ本格的に参入する。
xStock発行のBacked Finance
Backed Financeは、スイスのDLT法(分散型台帳技術法)に準拠し、現実世界の資産をブロックチェーン上でトークン化する技術を持つスタートアップだ。
同社は「xStocks」の発行体として知られ、株式トークン化プラットフォームとして世界第2位の規模を誇る。
市場シェアは約23%に達しており、ERC-20規格を用いた60種類以上のトークン化株式やETF(上場投資信託)を提供している。
これらの資産は、イーサリアム(ETH)やソラナ(SOL)などのネットワーク上で利用できる。
クラーケンはこの買収を通じて、従来のデジタル資産だけでなく、トークン化された証券分野へとサービスを拡大する方針だ。
安全性の高い同社のプラットフォームに、コンプライアンスを遵守したRWAを直接統合することが可能になる。
規制準拠と市場拡大の相乗効果
伝統的な金融資産とブロックチェーン技術の融合は、業界内で大きな注目を集めているトレンドだ。
クラーケンは公式発表で、仮想通貨の世界的普及を加速させ、顧客に金融的な自由をもたらすというミッションを強調している。
Backed Financeのビジネスモデルは、認可されたカストディアンによる資産の裏付けと、現金価値への償還可能性を重視している。
スイスの明確な規制枠組みの下で運営されている点は、機関投資家からの信頼を得る上で重要な要素となる。
クラーケンは、Backed Financeが持つコンプライアンスの枠組みを活用し、ブロックチェーンを通じた伝統的金融商品への需要に応える狙いだ。
この動きは、トークン化証券の正当性が認められつつある世界的な規制環境の変化を捉えたものといえる。
2026年のIPOに向けた動き
仮想通貨取引所クラーケンの企業価値は最新の資金調達ラウンドを経て、約200億ドルと評価されている。同社は2026年に新規株式公開(IPO)を計画しており、今回の買収はその準備の一環として位置づけられる。
市場データによると、クラーケンは2025年に入り積極的な買収攻勢を続けている。
xStocksの開発を完全に社内に取り込むことで、将来の株主に対して成長の潜在力を示す狙いがあるようだ。
両社の統合は、クラーケンの強固なインフラと広範な顧客基盤に、Backed Financeの専門知識を組み合わせることで大きな相乗効果を生むと期待される。
これにより、米国株式のトークン化商品などの開発が加速し、伝統的金融とブロックチェーンの架け橋となることが見込まれる。