KindlyMDとナカモトが合併、ビットコイン財務戦略に本格参入

米ヘルスケアデータ企業KindlyMDは14日、ビットコイン(BTC)財務戦略を担うナカモト・ホールディングスと合併した。
新会社は引き続き、KindlyMDの名称でナスダック市場にNAKAのティッカーで上場を維持し、ナカモトは完全子会社として運営される。
同社は合併に合わせ、私募債により5億4000万ドルの資金を調達した。この資金はすべてビットコイン購入に充てられ、KindlyMDは長期的に100万BTCの保有を目指す方針を明らかにしている。
ベイリー氏がCEOに就任
合併後の経営体制では、ナカモト創業者であり、ドナルド・トランプ大統領のビットコイン顧問を務めたデービッド・ベイリー氏がCEOに就任した。
従来のKindlyMD CEOであったティム・ピケット氏は、最高医療責任者として医療事業を担当する。
今回の合併により、同社は医療サービスとビットコイン財務サービスの二本柱で事業を展開する。
企業によるビットコイン保有拡大の流れ
今回の合併の背景には、企業によるビットコイン保有拡大の動きがある。
マイケル・セイラー氏率いるストラテジー社は62万8946BTCを保有し、メタプラネットは21万BTC取得を計画、さらにセムラー・サイエンティフィックは2027年までに10万5000BTCの取得を掲げている。
一方で、ブラックロックやフィデリティなどの大手運用会社はビットコインETFを通じて市場への関与を強めており、米国市場でも機関投資家の参入が加速している。
合併発表の14日には、10億5000万ドル規模のポジションが清算される一方、米国の現物ビットコインETFには2億3000万ドルの資金流入が確認された。
「ビットコイン標準」構想と今後の展望
ベイリー氏は「世界の資本市場はビットコイン標準で運営されるべきだ」との構想を示しており、今回の合併をその第一歩と位置づけている。
同社は今後、企業や政府機関によるビットコイン活用を支援するための金融商品やサービスを開発する方針だ。
今回の合併は、医療事業を基盤に安定収益を確保しつつ、ビットコイン財務戦略により成長を狙う企業モデルを示している。
KindlyMDは5億4000万ドルの資金を活用することで、世界の主要なビットコイン財務企業の上位20社に食い込む可能性がある。固定供給である2100万BTCをめぐる企業間競争が激化する中、KindlyMDの動きは業界を象徴する事例となりそうだ。
さらに、専門家の間では機関投資家がステーブルコインや分散型金融(DeFi)との連携を深めることで、より多角的な成長戦略が広がる可能性も指摘されている。