仮想通貨取引所ジェミニがIPO申請、評価額は22億ドル規模に

暗号資産(仮想通貨)取引所のジェミニは2日、新規株式公開(IPO)に向けて、米証券取引委員会(SEC)へS-1登録届出書を提出した。
届出書によると、同社はクラスA普通株式1666万6667株を、1株あたり17〜19ドルの価格帯で公募する予定で、上限価格で実施された場合には最大3億1700万ドルを調達できる見込みだ。
また、ジェミニはナスダック・グローバル・セレクト・マーケットへの上場を計画しており、ティッカーシンボルはGEMIを予定。今回のIPOによって、企業評価額は最大22億2000万ドルに達することを期待している。
ゴールドマン・サックスなど大手金融機関が主幹事
ジェミニのIPOでは、主幹事としてゴールドマン・サックスとシティグループが選任され、さらにモルガン・スタンレーやキャンターフィッツジェラルドも加わるなど、有力金融機関が名を連ねている。
また、引受会社は届出日から30日以内に最大240万株を追加取得できるオプションを持つが、SEC提出書類には「引受会社がオプションを行使して株式を売却しても、当社に収益は入らない」と明記されている。
ジェミニは2014年にキャメロン・ウィンクルボス氏とタイラー・ウィンクルボス氏によって設立された。両氏は、かつてフェイスブック社との和解金をビットコイン(BTC)に投資したことで知られ、その実績がジェミニの信頼性を高める要因のひとつとなっている。
仮想通貨IPO市場の再活性化
今回のIPOは、数年にわたる規制不透明感を経て、米国公開市場に再び仮想通貨関連企業が参入し始める中で実施される。すでにサークルやエトロなどの企業が上場に成功しており、市場環境は徐々に好転しつつある。
ジェミニはJOBS法の適用を受ける新興成長企業に分類され、上場プロセスを円滑に進める見込みだ。財務面でも堅調で、2024年の収益は1億4220万ドルと、前年の9810万ドルから大きく成長した。
同社は取引プラットフォームに加え、米ドル連動のステーブルコインやステーキング、カストディ、さらに仮想通貨報酬付きクレジットカードといった多様なデジタル資産サービスを提供している。
今回のIPOは、仮想通貨インフラ企業が公開市場で有望な存在として再び受け入れられ始めたことを示す重要な出来事となる可能性がある。