イーサリアム、ガス制限を6000万に引き上げ|容量33%拡大

イーサリアム(ETH)のネットワークは26日、ブロックごとのガスリミットを従来の4500万から6000万へと引き上げた。
この調整は、バリデータの過半数が支持を表明したことで、コンセンサスルールに基づき自動的に適用された。
ハードフォークを伴わない形での実施となり、ネットワークの容量は実質的に33%拡大している。
イーサリアム財団のトニ・ワルスタッター研究者は、この変更をコミュニティによる長年の努力の成果だと評価した。同氏はX上で、わずか1年でガスリミットが2倍になった事実に触れ、これは始まりに過ぎないと述べている。
3つの技術的な進歩
今回の引き上げが可能になった背景には、3つの重要な技術的進歩があるとされている。
開発者らによると、EIP-7623によるブロックサイズの保護措置導入が、巨大ブロックに伴うリスク軽減に寄与したという。
また、実行クライアントの最適化により、ノードがネットワークの安定性を損なうことなく高い負荷を処理できるようになった。
テストネットでの広範な実験でも、負荷が高い状況下での安定したブロック伝播が確認されている。
ガスリミットは約4年間にわたり3000万付近で推移していたが、2024年3月に「Pump The Gas」イニシアチブが開始された。
これにより、バリデータやクライアントチームへの働きかけが活発化し、今回の容量拡大へとつながった。
ガス制限引き上げによる影響
この変更の直後、イーサリアムのスケーリングネットワーク全体での処理速度は毎秒約3万1000トランザクション(TPS)に達した。
これにより、分散型アプリケーションが過度なガス最適化なしで動作できる余地が生まれている。
特に、トランザクションコストが重要となる分散型金融(DeFi)エコシステムの拡大に寄与することが期待される。
今回の調整は、12月3日に予定されている「Fusaka」ハードフォークに向けた重要なステップとなる。
イーサリアムのヴィタリック・ブテリン共同創設者は、将来的に計算コストの調整と組み合わせた、より的を絞ったスケーリング手法を採用する可能性を示唆した。
2026年には「Glamsterdam」アップグレードも計画されており、さらなるガスリミットの拡大が議論されている。
イーサリアムは今後10年以内に、ベースレイヤーで1万TPSの達成を目指す長期的なビジョンを掲げている。