ブータン、1万BTC投入で「マインドフルネス・シティ」開発へ

ブータン王国は17日、最大1万ビットコイン(BTC)を南部の経済特区「ゲレフ・マインドフルネス・シティ(GMC)」の長期開発に充当する方針を示した。
約10億ドル相当の暗号資産(仮想通貨)を国家インフラ整備に活用する試みとして、世界的にも類を見ない規模となる。
水力発電で蓄積したBTCを都市建設に
ジグミ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク国王は建国記念日の演説で「すべてのブータン国民がGMCの管理者、利害関係者、受益者となることを保証する」と述べた。
「ビットコイン開発誓約」の創設を明らかにしている。
ブータンは豊富な水力発電を活用し、国営投資会社Druk Holding & Investments(DHI)を通じて仮想通貨マイニングを展開してきた。
オンチェーン分析企業アーカム・インテリジェンスによると、同国は約1万1000BTC以上を保有。
国家として世界有数のビットコイン保有国に位置づけられている。
今回の誓約では、BTCの売却ではなく担保活用やトレジャリー戦略、長期保有を通じた資本保全が優先される方針だ。
国民総幸福量を体現する都市設計
GMCは2023年12月、第116回建国記念日に国王が構想を示した特別行政区。
インド国境に近い南部ゲレフに位置し、面積は1000平方キロメートル以上に及ぶ。
都市設計はデンマークの建築事務所BIGがArup、Cistriと共同で担当。
ブータン独自の国民総幸福量(GNH)の9つの指標に基づき、心理的幸福、健康、教育、文化などを都市機能に反映させる。
35本の河川に沿って配置される11の居住区はマンダラの原則に従い、中心の公共空間から放射状に展開。
洪水対策と野生動物の移動経路確保を兼ねた水田が河川沿いに設けられる。
デジタル資産と伝統の融合
GMCは2025年1月にBTC、将来性が高いイーサリアム(ETH)やバイナンスコイン(BNB)を戦略的準備資産に指定。
同年5月にはBinance Payと提携し、観光業での仮想通貨決済を導入した。
12月にはSolana基盤の金担保トークン「TER」を発行し、DK Bankが独占販売を担う。
国民約80万人のデジタルIDをイーサリアムに紐づける取り組みも進行中で、人口規模での国家IDをパブリックチェーンに統合する世界初の事例となる。
国王は「GMCを企業、土地所有者を株主と考えてほしい。国有地が大半を占めるため、全国の県民がその成功を分かち合う」と述べた。