テザー社、約150億円分のBTC追加購入|下落相場で押し目買い

ステーブルコインUSDTを発行するテザー社は7日、約149億円相当のビットコイン(BTC)を追加購入したことが明らかになった。
同社は仮想通貨取引所ビットフィネックスから961 BTCを引き出しており、市場価格が下落している局面を狙った「押し目買い」とみられている。
異例のタイミングでの購入と市場心理
ARKHAMのオンチェーンデータによると、今回の購入でテザー社のビットコイン総保有量は87,296 BTCとなり、その価値は約88億4000万ドルに達した。
これは、テザーが世界で6番目に大きなビットコイン保有者となったことを意味する。
テザーは2023年以降、会社利益の15%をビットコイン準備金に充てる方針を継続している。
しかし、購入は通常四半期末に行われることが多く、今回の期中での買い増しは異例だ。
購入が行われた時期、暗号資産(仮想通貨)市場ではビットコインやイーサリアムのETFから資金が流出し、価格が下落していた。
ビットコイン価格は直近24時間で2%下落し、約10万784ドルで取引されていた。
市場では弱気ムードも見られる一方、機関投資家の見方は対照的だ。
JPモルガンは直近のレポートでビットコインの公正価値を17万ドルに引き上げ、「価値の保存手段として金を代替しつつある」と評価している。
テザーの保有戦略と含み益
テザーは現在、世界6位のビットコイン保有組織となっている。同社を上回る民間企業は、14万BTCを保有するブロック・ワンのみである。
2023年から続く購入戦略は、インフレヘッジとUSDTの信頼性を支えるバランスシート強化を目的としている。
同社は2025年第2四半期に過去最高の49億ドルの純利益を計上しており、これが継続的なBTC購入の原資となっている。
出金履歴から推定される平均取得単価は約4万9121ドルで、現時点で約45億4900万ドルの含み益が発生している計算になる。
今回の買い増しは、大規模保有者が市場の価格変動を利用しながら戦略的に資産を蓄積していることを示す事例となったと言える。