JPモルガン、ビットコインETF連動債を提案|最大16%のリターン

米金融大手JPモルガン・チェースは25日、ビットコインETFの価格変動に連動する新たな金融商品を提案した。
ETF連動の仕組み債とは
JPモルガンが発表したのは、ブラックロックの「iShares Bitcoin Trust ETF(IBIT)」をベンチマークとする仕組み債だ。
この商品は2028年10月5日を満期とし、同社が完全かつ無条件に保証する設計となっている。
投資家は特定の市場条件下で元本保護を受けつつ、最大16%のリターンを得られる可能性がある。
2026年の時点でIBITの価格が所定の水準を維持していれば、16%の利益が保証される仕組みだ。
一方で、価格が基準を大きく下回った場合にはリスクも伴う。
ETF価格が基準値から30%以上下落すると損失が発生する可能性があるが、上昇時には上限なしの利益を享受できる設計となっている。
この商品は、仮想通貨を直接保有することなく価格変動へのエクスポージャーを得られる点が特徴だ。
従来の金融機関が直面するカストディや規制の複雑さを回避できるメリットがある。
強気な価格予測と保有拡大
今回の商品発表は、規制環境の変化により仮想通貨が主流の資産として認められつつある中で行われた。
JPモルガン自身もIBITの保有を64%増やし、その額は3億4300万ドルに達している。
同社のリサーチ部門は、ビットコイン価格に対して強気な見通しを示している。
金(ゴールド)との比較モデルに基づき、今後12〜18ヶ月以内に17万ドルに達する可能性があると分析した。
アナリストは、最近の市場調整によりビットコインが金に対して割安に見えると指摘している。
また、無期限先物の建玉と時価総額の比率が正常化し、過剰なレバレッジが解消されたとの見方を示した。
IBITの運用資産が急速に拡大し、約1000億ドルに達していることも背景にある。
機関投資家の分析によれば、これがビットコインの供給を引き締め、価格上昇の圧力を生み出しているという。
競合のモルガン・スタンレーも同様の商品で1億400万ドルを集めている。
伝統的な投資家が規制を遵守しながら市場に参加できる金融派生商品への需要が高まっているようだ。
リスク警告と市場の反応
JPモルガンは年末までに、機関投資家向けにビットコインとイーサリアムをローンの担保として認める準備も進めている。
これはジェイミー・ダイモンCEOの過去の懐疑的な姿勢からの大きな転換と言える。
一方で、同社は市場のリスクについても警告を発している。
マイクロストラテジーのような大量のビットコインを保有する企業が、株価指数の基準変更により強制的な売却を迫られる可能性を指摘した。
具体的には、MSCIなどの指数プロバイダーが基準を変更した場合、約88億ドル規模の売り圧力が発生すると試算している。
この分析に対し、仮想通貨コミュニティからは反発の声も上がっている。
自社で関連商品を展開しながら、市場の不安を煽るような警告を行う姿勢が「二重基準」だと批判されているのだ。
一部では同社に対するボイコットを呼びかける動きも報じられている。
現在、ビットコインは約10万1290ドル付近で取引されている。10月の最高値である12万6000ドルから約20%下落している状況だ。
しかし、JPモルガンのアナリストはこの水準を「大きな上昇余地がある」と評価している。
現在の市場環境が続けば、投資家にとって有利な展開が期待できるとの見方を示した。