インターポールが香港の仮想通貨詐欺容疑2名を国際手配

国際刑事警察機構(インターポール)は24日、仮想通貨投資を推進し暗号資産(仮想通貨)マイニングマシンを販売した香港市民2名を国際指名手配した。香港警察の要請に基づくもので、詐欺や窃盗の容疑がかけられている。
香港の仮想通貨界に衝撃
国際指名手配の対象となったのは、ウォン・チンキット(30)とモク・ツンティン(26)の2名だ。ウォンには詐欺と窃盗の容疑がかけられ、モクは犯罪収益に関連する財産の取り扱いの疑いで手配されている。
2人の法的問題は2019年3月に遡る。当時、ソーシャルメディアや投資セミナーで虚偽の主張を行い、ファイルコインマイニングマシンを販売した疑いで逮捕された。警察の報告によると、2018年後半から18人が被害を申告し、総額260万香港ドル(約5200万円)の損失が報告されている。
JPEX事件との関連性
香港フリープレスによると、ウォンは「仮想通貨の達人」と呼ばれ、モクは彼の助手として知られていた。特にモクは2023年9月、香港史上最大の仮想通貨詐欺事件とされるJPEX事件に関連して逮捕された。この事件では70人以上が逮捕され、2600人以上の被害者が確認されている。被害総額は16億香港ドル(約320億円)に上るとされる。
香港の仮想通貨規制強化の動き
香港当局は仮想通貨業界に対する規制枠組みの確立を積極的に進めている。2023年、証券先物委員会(SFC)が業界規制ルールに関する協議を開始し、2024年3月には仮想資産サービスプロバイダー(VASP)のライセンス制度が施行された。
2月29日には仮想資産取引プラットフォーム(VATP)のライセンス申請締め切りを迎え、24社が申請を行った。一方で、5月には複数の仮想通貨取引所が香港から撤退する動きも見られた。
今後の展望
インターポールによる国際指名手配は、加盟国の法執行機関に対して個人の所在特定と仮拘留を要請するグローバルアラートだ。ただし、各国が独自に対応を判断するため、2人の身柄拘束までには時間がかかる可能性がある。
香港当局の今回の動きは、仮想通貨業界の健全化と投資家保護を目指すものだ。今後も規制強化と取り締まりの厳格化が進むと予想される。投資家は信頼できる取引所の選択や、詐欺的な投資勧誘に対する警戒が求められる。