ヴィタリック氏、2026年のETH戦略を発表|ガス上限5倍など

イーサリアムのヴィタリック・ブテリン共同創設者は26日、2026年に向けたネットワークの新戦略をX(旧Twitter)で明らかにした。
ブロックガスリミットを現在の5倍に引き上げる一方、処理効率の低い操作については手数料も同程度引き上げるという「標的型最適化」への移行を提案。
従来のすべてをスケーリングする方針から大きく転換する内容となっている。
この戦略により、ネットワーク全体の処理能力を向上させつつ、ノード運営者への過度な負担を軽減することを目指す。
ガスリミット5倍と手数料引き上げの両立
ブテリン氏は「来年は継続的な成長を期待しているが、より標的を絞った、均一ではない成長になる」と述べた。
ガスリミットを5倍に引き上げると同時に、処理コストが高い特定の操作については手数料も5倍に引き上げる可能性を示唆している。
手数料引き上げの対象として挙げられたのは、新しいストレージスロットへの書き込み、大規模なコントラクトへの呼び出し、複雑な算術演算命令、一部のプリコンパイル処理などだ。
イーサリアム財団のトニ・ヴァーシュテッター調査員によると、より複雑なアプリケーションに対応できるネットワークの成熟を示しているという。
分散性とスケーラビリティの均衡
今回の戦略転換の背景には、分散性、セキュリティ、スケーラビリティのバランスを保つという長年の課題がある。
ガスリミットの引き上げはユーザーにとって有益だが、ブロック生成者やフルノードへの負荷を増大させ、長期的な持続可能性に懸念が生じる。
非効率な操作のコストを引き上げることで、開発者により最適化されたスマートコントラクトの作成を促す狙いがある。
ブテリン氏はDevconnect 2025での講演でも、「時間の経過とともにプロトコルの安定化が進むことはイーサリアムにとって良いこと」と発言。
レイヤー2エコシステムやウォレット、プライバシーツールでのイノベーションを推進しつつ、基盤レイヤーの変更は抑制していく方向性を示した。
ETHの価値を支えるバーン機構
ブテリン氏は以前、ブロブ(Blob)の数を増やしつつ最低価格を設定することで、年間約71万3000ETHを焼却できる可能性にも言及している。
レイヤー2の手数料の一部をETHで焼却する仕組みは、仮想通貨ステーキング報酬と併せてETHの価値を支える重要な要素となる。
2024年3月に実施されたEIP-4844はすでに稼働しており、完全なダンクシャーディングも開発が進行中だ。
将来性が期待されるイーサリアムは単に処理能力を拡大するだけでなく、より適応性が高く、予測可能で、戦略的に設計されたネットワークへと進化しつつある。