イラン制裁回避に仮想通貨利用、英取引所2社を米国が制裁

米財務省外国資産管理局(OFAC)は30日、イランの制裁回避を支援した疑いで、英国を拠点とする暗号資産(仮想通貨)取引所2社を制裁対象に指定した。
指定されたのは「Zedcex Exchange Ltd」と「Zedxion Exchange Ltd」だ。
両社はイランの金融部門で活動し、イスラム革命防衛隊の資金移動に関与したとされる。
デジタル資産取引所がイランの経済金融部門での活動を理由に指定されるのは今回が初めてとなる。
当局は、両社に関連する複数のアドレスが、革命防衛隊関連ウォレットへの資金移動を処理していたことを確認したとしている。
イラン革命防衛隊への資金支援と巨額の取引
米財務省の発表によると、2022年8月に登録されたZedcexは、設立以降で累計940億ドル超の取引を処理してきた。
一方、2021年5月登録のZedxionには、イラン国営石油会社からの巨額横領で知られる実業家ババク・モルテザ・ザンジャニ氏が取締役を務めた経歴がある。
今回の制裁は大統領令13902号および13224号に基づき実施され、両社の米国内資産は凍結されるほか、米国人による取引も禁止された。
財務省は、デジタル資産を悪用した制裁回避や不正資金供与ネットワークの摘発を今後も継続する方針を示している。
また、制裁対象にはZedcexに関連する7つのトロン(TRX)ブロックチェーンアドレスも含まれ、これらは過去にイスラエル当局により、革命防衛隊管理下のアドレスと一部重複していることが確認されていた。
拡大するイランの仮想通貨利用と規制当局の対応
米財務省のスコット・ベセント長官は、イラン政権が国民から流用した資金を世界の金融機関へ送金していると批判した。
イランは石油収入を国民支援ではなく、兵器開発や武装勢力の支援に充てていると指摘する。
今回の制裁は、仮想通貨を利用した制裁回避への懸念を反映したものだ。
分析では、イランは約77億8000万ドル規模の仮想通貨エコシステムを形成し、その約半分のオンチェーン活動を革命防衛隊が管理しているとされる。
さらに、中央銀行は5億ドル超のテザー(USDT)を蓄積し、現地取引所を通じて通貨リアルの下支えに活用している可能性がある。
当局は従来の個別ウォレット指定から、取引所全体を対象とする包括的な制裁戦略へ移行している。