メタプラネット、2カ月連続でBTC購入停止|自社株買い優先へ

東証上場のメタプラネットは28日、10月と11月の2カ月連続でビットコイン(BTC)の追加購入を行わなかったことが明らかになった。
同社の公開データによると、最後のビットコイン購入は9月30日に実施された。
現在の総保有量は3万823ビットコインで、約2カ月間にわたり保有量に変動はない。
同社はこれまで、週末に購入発表を行った実績がない。そのため、10月に続き11月についても、月間を通して新規購入が行われなかったことが確定的となった。
9月には1カ月間で約1万ビットコインを積み上げるなど、同社はこれまで急速な蓄積を進めていた。
今回の動きは、これまでの積極的な購入姿勢からの大きな変化といえる。
自社株買いへの戦略的シフト
同社がビットコインの直接購入を一時停止した背景には、経営戦略の明確な転換がある。市場環境を分析した結果、自社株買いを優先する判断を下したようだ。
判断の基準となったのは「mNAV」と呼ばれる指標だ。これは時価総額をビットコイン保有額で割ったもので、同社の指標は1倍を下回っていた。
この状況を受け、同社は自社株買いを通じて1株当たりのビットコイン保有量を最大化する策に出た。
割安と判断した自社株を取得することで、株主価値の向上を図る狙いがある。
これに伴い、第20回から第22回までの新株予約権の行使を一時停止すると発表した。
この措置は資本戦略を最適化し、より効率的にビットコイン保有効果を株主に還元するためだ。こうした戦略的なビットコイン運用が注目されている。
同社は6月に「555ミリオン・プラン」を発表している。2027年までに21万ビットコインを取得するという長期目標に変更はないとみられる。
財務基盤の強化と市場環境
購入を見送る一方で、将来の投資に向けた資金調達は活発に行われている。保有するビットコインを担保に、大規模な資金を確保した。
同社は4日、ビットコインを担保に1億ドルの借入を実施した。さらにその後、1億3000万ドルの追加借入も行っている。
調達した資金の用途は多岐にわたる。ビットコインの追加取得やインカム事業の証拠金、そして前述の自社株買いに充てられる予定だ。
財務面では、第3四半期決算において黒字転換を達成した。ビットコインの評価益として206億円を計上したことが大きく寄与している。
また、ビットコイン収益活動に特化した米国子会社の設立も発表された。単なる資産保有にとどまらず、収益源の多様化とグローバル展開を進めている。
市場価格の変動も戦略に影響を与えた可能性がある。ビットコイン価格は10月8日に約1896万円の高値をつけたが、11月下旬には約1430万円まで下落した。
規制面では、日本取引所グループが仮想通貨を保有する企業への上場規制強化を検討中と報じられた。
同社はこの動きについて、業界にとって必然的かつ健全なものと捉えている。