イーサリアム創業者、イーロン・マスク氏のX運営を批判

イーサリアム(ETH)のヴィタリック・ブテリン共同創設者は9日、イーロン・マスク氏が率いるX(旧Twitter)の現状について強い懸念を表明した。
言論の自由を害していると批判
ブテリンは、イーロン・マスクが率いるXがかつての姿から大きく変質したと指摘している。同氏によれば当初、Xは言論の自由を象徴する場として位置づけられていた。
しかし現在は「組織的なヘイトセッションのためのデス・スター」のような状態になっているという。同氏は、この変化が逆に言論の自由という大義を害していると批判した。
この発言の背景には、欧州委員会によるXへの制裁措置がある。同委員会は5日、デジタルサービス法違反を理由にXへ罰金を科した。
Xはヘイトスピーチや誤情報の管理が不十分であると判断された。罰金額は1億4000万ドルに上る。
アルゴリズム操作への懸念も
ブテリン氏は、Xが行うコンテンツ管理の手法にも疑問を呈している。特にアルゴリズムの調整について、恣意的な基準に基づいていると指摘した。
同氏は、プラットフォームが持つ影響力の行使について持論を展開している。「怒りを煽るコンテンツではなく、優しさを促進するためにその力を使うべきだ」と述べた。
現状のままでは、将来的に重要な社会的価値が損なわれる恐れがあるという。
ブテリン氏は、数年後に起きうる価値観への反動を深刻に懸念している。
マスク氏が2022年にTwitterを買収して以来、その運営方針は議論を呼んできた。
今回のブテリン氏の発言は、技術コミュニティ内での懸念を代弁するものといえる。
分散型SNSの新たな動き
一方、ブテリン氏が以前支持していたイーサリアムなどを基盤とする分散型SNSのFarcasterも新たな動きを見せた。同プラットフォームは、戦略の大幅な転換を発表している。
従来のソーシャル機能重視のアプローチから、ウォレット主導のモデルへと移行するという。これはオンチェーンでの取引機能を優先する方針転換だ。
ユーザーにとっては、使いやすい仮想通貨ウォレット機能の実装が期待されるところだ。
この変更は、従来のSNSモデルが抱える課題を示唆している可能性がある。ブテリン氏のX批判と時期を同じくして、分散型メディアのあり方が問われている。